ネット左翼の方々についてはどういう印象でしょうか？

僕の立ち位置からすると、ネット左翼もネトウヨも五十歩百歩です。

これは学生時代に読んだJ.Gabelというフランス人社会心理学者の研究論文なんですが、左翼や右翼(その論文ではナチズムと共産主義でしたが)の極端な思想は、一種の精神障害である、というものがありました。そして精神障害の一つである統合失調症患者との比較研究を行っていました。

それによれば通常の人間の価値尺度は多次元である。簡単に言えばX軸、Y軸、Z軸の3次元がある。しかしそうなるとある座標に置かれた点を評価するのに3次元からその都度、評価しなくてはならない。これは人間の精神にとって辛い状態である。だから精神が弱ると、この次元を減らそうという意識が働く。

その極限の状態が、価値尺度を1次元にしてしまった状態で、そうすればあらゆることが物差し一本当てれば判断できる。このため人間にはナチズムや共産主義を支持して物差しを一本にしたいというインセンティブが働くが、この価値判断のやり方は統合失調症患者との類似性が非常に高い、というものでした。粗いところもある論文でしたが、目の付け所は面白いなぁと思ったものです(いつか日本語に翻訳してやろうと思って、まだ果たせていませんが)。

僕の答えはこの論文にほぼ近いです。価値尺度を減らせば楽ができる。しかしそれはイージーゴーイングである。だからネトウヨもネット左翼も僕には変わらない。自分は常にたくさんの価値尺度がある複雑な世界に身を置いて、その都度その都度、難しいけれど、誠実な価値評価を下していきたいものだ、と考えているわけです。

もっとも人間はある立場を選び取らなければなりません。それを明示しておくと、僕の立ち位置は言葉の本当の意味での「リベラリズム」(自由主義)というものです。日本では意図的な誤訳が行われていて、革新政党や果ては共産党まで「リベラルの結集」なんてアホなことを言っていて、大爆笑です。

お前ら革新というのは「プログレッシブ」であって、共産主義は「コミュニズム」だろうが、と口を酸っぱくして説教したいです。完全な誤訳で「リベラリズム」の歴史的政治的社会的背景をまったくわかっていない。ですから僕にとっては朝日新聞や東京新聞はプログレッシブなメディア、あるいはレフトウィングのメディアではあるかもしれませんが、決してリベラリズムのメディアではありません🤣。