フジテレビの港社長は先週末の金曜日の時点でどうすれば良かったとお考えでしょうか？

以前の回答で触れたように、港浩一社長って、フジテレビでも制作畑、それもバラエティ番組制作のご出身で、もともとは「とんねるずのみなさんのおかげです」なんかでとんねるず班のトップをやっていた方です。大昔、とんねるずの石橋貴明さんが「だぁしい」とか言って番組のプロデューサーのモノマネをネタにしていましたが、その石田弘プロデューサーの一番弟子が港さんです。

以上のような経歴から考えると、僕らの感覚では東宝とか東映などの映画会社のプロデューサー上がりの社長に近く、事業や制作のことはわかっても、少なくともマスコミ人ではない。つまり報道の感覚がぜんぜんわかっておらず、そのセンスもない。

ですから制作局と報道局ではテレビ局内の人的バランスがあって難しかったのかもしれませんが、ここは報道局上がりの役員とよく協議して、マスコミ対策をきちんと練るべきでした。

この状況では明け透けにぜんぶ答えてしまった方が記者から好意的に見られます。また先日の会見では記者会限定にして、他局の記者の質問をシャットアウトしたり、インターネットメディアやフリーランス記者を記者会見会場からシャットアウトしたようですが、これは明らかに悪手でした。排除されれば悪感情を持って追いかけるのが人間というもので、それは記者であっても変わりありません。

たぶん港社長の退任はもはや避け難いと思います。これを追い込まれて退任するのか、適切なタイミングで退任表明するのかでも港さん、ひいてはフジに対するメディアの心象、そして世間の心象もぜんぜん変わってきます。

「答えられない」を連発するのは、少なくとも「マスコミ」のトップの記者会見ではありません。だってふだん記者たちは「その答えられないのはなんだ」って散々突っ込んでいるんですから。マスコミ人なら、ここはオープンかつ誠実かつ赤裸々に答えてしまった方が得策であることは、嫌というほど承知しています。

港さんはマスコミのトップとしてそのような対応をするべきでした。しかし残念ながら、港社長のマインドはマスコミ人ではなかったんですよね。