
質問
記者クラブって無くしたら情報取れなくなって困りますか? メリットとデメリットどっちが大きいんでしょうか?
回答
「記者クラブ」的なものを完全になくしたら、困るのはメディア側ではなく、広報する側だと思います。
例えば僕は現役時代、「内閣記者会」(官邸記者クラブ)、「衆議院記者クラブ」、「平河クラブ」(自民党記者クラブ)、「財政研究会」(現・財務省記者クラブ)、「日銀クラブ」、「経団連記者クラブ」などの記者クラブに所属して取材活動を行ってきました。もしこれらのクラブがなかったと仮定しましょう。
内閣記者会に所属していれば、守衛さんのチェックがあるとはいえ、首相官邸に自由に出入りができます。首相にぶら下がり取材することも、日々の官房長官の記者会見にも出席できます。もしこれを記者クラブなく自由に取材活動させるとすれば、誰を首相官邸に入れて、誰を首相の側に近づけても良いのか、内閣官房広報の方々は、その都度チェックしなければならなくなります。
また財務省が重要な政策を発表するので、その案件を取材し、知見がある記者を集めたい時、どうすればいいのか。財務省の広報は、記者クラブがない場合、記者データベースでも作って更新するか、来て欲しいメディアに電話をかけて担当記者を1人1人聞き出して出欠を取るしかなくなります。
ところが「内閣記者会」については内閣記者会所属の記者である記者証を身に付けていれば、それで通せます。内閣官房長官の記者会見への出席者はクラブ所属のメディアであれば、「出席者は各社3人まで」とでも伝えておけばメディア側で調整してくれます。記者会見の仕切りも幹事社任せにできます。
また財務省の件では財研に「◯◯時から事務次官の会見があります」と通知すれば、継続的にその案件を取材している記者にほぼ全員伝わります。記者会見を開くまでもない発表の場合、記者クラブにプレスリリースを「投げ込み」すれば、それを見たクラブの記者が勝手に記事に書いてくれます。必要なのはそれを見た記者の質問に応じることだけです。
記者クラブで「内閣記者会」以上に加入が難しいとされているクラブに、プロ野球の記者クラブがあります。特等席でプロ野球が只見できるからなんですが、これを日本プロ野球機構が1試合1試合ごと、許諾する記者を選別するには膨大な手間がかかります。
このように記者クラブというのは、広報する側にとっても非常に効率的な仕組みなんです。ですから、これだけ記者クラブの弊害が言われている中でも、広範な記者の取材対象になるような大企業では、むしろ進んで記者クラブ的な組織を作ろうとするぐらいです。そうでもしないと、てんでんばら、継続的に取材している記者かどうかもわからない記者たちを相手に、膨大な選別作業を行う必要に迫られます。
実際、記者クラブがない海外の場合、プレスセンターやメディアセンターという名称でメディア対応をする場合、大手メディアであればその視聴者数や購読者数をチェック、フリーランスなどであれば過去に自分が書いた署名入りの記事のコピーを何件か持参してプレス証を受け取れといった指示があります。この手続きに非常に時間を食い、広報サイドの人手もかかります。
ではこの記者クラブの弊害は何かと言えば、非常に閉鎖的であることです。記者クラブによって名称は異なりますが、その内訳はこんな感じです。
◯◯記者クラブ8社会=朝日、讀賣、毎日、産経、日経、共同、時事、NHKの8社の記者が所属
◯◯記者クラブテレビ記者会=日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東、その他準キー局が所属
◯◯記者クラブ専門記者会=その分野に関する専門紙誌の記者が所属
一つの記者クラブの内訳はだいたいこんな感じで、内訳が歴史的にちょっと異なるところや専門記者会がないところもあります。しかしいずれにせよ、記者クラブには「誰でもが入れるわけではなかった」んです。また各記者会は所在地も発表内容も異なる場合が多いです。
抜け落ちているメディアや対象は直ぐに気が付くでしょう。①海外メディア、②インターネットメディア、③週刊文春など週刊誌の記者ーーです。週刊誌はフリーランス記者が大半ですから、記者クラブへの所属が困難でした。またある分野について継続的に取材している研究者など個人も入れません。昨今で言えばYouTuberやインフルエンサーも入れません。
かつてはこういった抜け落ちているメディアが加入しようとしても、既存メディアが既得権益として、加入を拒否することが数多くありました。広報サイドが有益なメディアとして加入させようとしても、記者クラブ側が拒否することもありました。
もう一つの問題は、記者クラブ側が圧力団体になりえることです。先に挙げた8社会が「俺たちの言う通りにしないと記事として取り上げない」と言えば、全国紙と通信社、NHKがまったく取り上げないことになります。そうなれば広報の失敗として責任を問われかねませんから、広報側は言うことを聞かざるえなくなります。現役時代、割とあったのでは、「この発表は◯月◯日に発表すれば大きなニュースにできるから、その日に発表しろ」と、記者クラブ側が指示することです。
もう一つのパターンは「記者クラブ会員以外にはこの件については話すな」と、記者クラブ側が広報サイドに圧力をかけるものです。こういう慣習が出来上がると、記者クラブ会員外のメディアが先に嗅ぎつけて、取材を申し込んでも、「この件についてお話しできるのは、記者クラブで発表してから」という対応になりがちでした。
問題点を読んでいただければわかりますが、これは大手メディアが、情報に関して独禁法違反をやっていたようなものだったんです。そこに記者クラブの弊害があります。現在は大手メディアの重要性が相対的に弱まるとともに、いくつかの記者クラブの門戸が広く開かれるようになりつつあるところだと言えます。
記者クラブ的な組織は広報サイドにとっても便利なので、なくならないとは思いますが、その中身は今後ますます変質してくるでしょう。
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