若い芸術家の卵をサポートされることにしたのは、芸術的な才能を評価されてのことですか？

根本的には「気に入った」からです。もちろん才能はあると思っています。

僕が一番期待しているのはバレリーナさんです。天性に恵まれていますね。先生も高い期待を寄せています。先生によれば海外留学の話もあったけど、お父さんが亡くなられたので立ち消えになったそうです。マレインスキーの永久メイさんにちょっと感じが似ているんですよ。早く彼女みたいにビッグにならないかな。海外留学も考えてあげなくては。

チェロの子はチャンスさえあれば、いつでもプロオケに入れるぐらいの実力はあると思います。現在もトラでは入っていますから。僕の師匠は有名な人でプロオケにも顔が効くので、近く紹介してあげようと考えています。楽器も変わったし、一皮むけるのはそう遠くないかもしれません。

ピアニスト希望の子は、その点では一番時間がかかると考えています。ソロで食っていくのはまだまだ厳しいかな。その辺は妻も同じ見立てです。譜読みとかは早いそうだし、人柄は良いので、アンサンブルや伴奏のピアニストで食えることをまずは目指すことになるんじゃないかな。あとはピアノ漬けの生活になってどこまで変われるかですね。意欲だけではどうにもならないのが、この世界の辛いところです。