日本の五大商社の株を一つか二つ買おうと考えているのですが、決め手が見つかりません。

五大商社と一口に言っても、それぞれ個性がかなり違います。三菱商事は比較的バランスが取れていますが、資源と穀物に特に強みがあります。天然ガスとかは三菱商事ですね。ITとかベンチャー投資などにはあまり強くありません。

三井物産もやはり資源が強いです。食料部門は三菱に比べると大したことがありません。同社が現在強化しているのは、インフラ事業とヘルスケア事業だと思います。

伊藤忠の事業ポートフォリオは商社の中ではかなり個性的で、強いのはIT関連。そして繊維は同社が伝統的に強いです。生活消費関連なら伊藤忠でしょう。半面、資源や穀物は他社に比べると大したことがありません。

住友商事も比較的バランスが取れていますが、先端のアグリビジネスとCATVなどのメディア事業では他社を圧しています。デジタル事業も伊藤忠に比肩します。航空機のリース事業といえば、同社か6番目の商社である双日となります。建設機械関連も同社じゃないかな。

丸紅は穀物や飼料、肥料などが圧倒的に強く、穀物なら三菱商事に勝っているかもしれません。電力事業も同社の強みとなります。一方、ITデジタル関連や消費関連ビジネスは同社の弱点ですね。

と、以上のような特徴は商社への投資をしている機関投資家はもちろん、個人投資家もよく知っていることですから、資源価格が上がると見れば、真っ先に三井物産と三菱商事が買われます。穀物価格が上昇すれば、買われるのは丸紅か三菱商事です。消費好調とあれば、伊藤忠の好業績を予想しますね。

このように、各社の事業ポートフォリオ(強みと弱み)がかなり違いますから、総合商社投資でまずやるべきなのは、セグメント分析です。セグメント情報の載っている決算資料や中期経営計画書などをまず見ましょう。歴代社長の出身部門を調べるのも、商社の主力事業を判断するための役に立ちます。

その結果、資源が来そうだとか、穀物が面白いんじゃないかと言った判断をするのが投資家個々の腕の見せ所になります。