レーザーテックは来年早々にも2万ぐらいは回復しないのでしょうか？

僕は過去にも回答していますが、「値頃感」で投資するのが一番損を出しやすいです。「高値覚え」という言葉をこの際覚えてください。過去の高値を見てその価格が妥当でそこに戻ると思い込んで、少し安くなった株を「割安」と判断、さらに悪いことに、その株が下落トレンドに入っても、「きっとまた戻る」と思い込んで、損切りできず含み損を抱え込んでしまう失敗を言います。今回の件は典型的な「高値覚え」です。

僕はレーザーテックに関してまったく反対の投資行動をして、2万4250円ほどでショート(空売り)に出ていました。レーザーテックには下落する理由はあっても、株価が上昇する理由はないとみたからです。僕は投資アドバイスはしないので、この時期「レーザーテックが安くなったから買わないのか？」と聞かれ、「買う気がない」旨の回答をしていますが、その辺りではすでにショートを検討していました。

2万円前後のレーザーテックには、「値頃感」以外に買う理由がなく、半導体株に詳しい僕らみたいなのはショートに転じていた筈ですので、株価は下がるしかありませんでした。

ただ僕も先ごろ、「レーザーテックの下落もいいところまで来たか」と判断、1万4800円でショートカバー(買い戻し)をして、利益を確定させました。「何もなければ」ですが、レーザーテックの株価下落もそろそろ下げ止まると僕は判断しています。

では反転して上昇するのか、と問われれば、確定的なことは何も言えませんが、僕個人の投資判断は「上がる理由がない」です。ですからショートカバーはしましたが、新規の買いはしません。僕は「値頃」なんて曖昧な理由で株を買うことはありません。

まず僕がショートした理由である「米中半導体摩擦が激化している」が現状では解決されていません。これが解決されないと、買いにくいです。またこのためレーザーテックの業績が不透明です。特に同社は良い業績予想を出しにくいです。

また米国のショートファンドのレポートで同社の財務報告の信頼性にケチがつきました。僕はこれを一部に問題はあるものの、会計不正はないと見ていますが、ピカピカだった同社の決算発表に雲が差したのは否めません。

またおそらくですが、レーザーテック株を高値で買って、含み損を抱え込んで損切りできていない投資家が多数いると見ています。となると、ちょっと株価が戻るとやれやれと損失を確定させる戻り売りが出ると見ています。当面はこの売りをこなす必要があります。

以上がレーザーテックの株価が早期には戻りにくい、高値は重いだろうと僕が判断、買うのを見送った理由です。

来年早々にレーザーテックの株価が急速に戻るシナリオは、①レーザーテックがサプライズの好決算、好業績見通しを発表する、②トランプ新大統領が米中半導体戦争を撤回するーーと言ったところで、こうなれば2万円は軽く戻ります。

これに賭けるかどうかをご自身で考えてください。

僕自身は「これは起こりそうにない。たぶん1万4000円-1万6000円をしばらくウロウロする」と判断しました。またトランプ大統領が米中貿易摩擦を激化させ、これが半導体に及んだ場合、レーザーテックの株価はさらに大きく下落するリスクがあるのも、僕が買えなかった理由です。

僕の考えている材料は出しましたので、投資判断はご自分でしてください。