65歳の高齢者におすすめの投資先は何がよろしいでしょうか？

65歳で運用を始めるのであれば、個別株投資はオススメしません。大型優良株でも株価が5割になり、小型株であれば90%のマイナスがあるのが個別株投資です。若くて働いていれば「勉強代」として立ち直れますが、僕らの歳では再起が難しいです。その点、挙げられたETF(上場投資信託)であれば、比較的安全性が高いと言えます。

VTIというのはCRSP米国総合指数と言って、米国のあらゆる上場株を対象にした株価指数を対象に投資するもの、S&P500はS&Pが選んだ500種の銘柄で構成される株価指数に連動するもの、VIGは米国の中大型株で10年連続増配している銘柄に投資するもの、という違いがあります。

3者は当然パフォーマンスが異なります。しかし構成銘柄は被っており、大きな値動きという意味では誤差です。VIGが確かに一番安全性が高いですが、それでも下落する時は下落しますし、長期低迷する可能性はゼロではありません。

投資において一番損をしやすいのは、「1ドル1円でも多く儲けよう」とすることです。多くの投資初心者がこういう考えで投資し、大損して消えていきます。

ベテラン投資家は必ず不測の事態が起こることに備えて、リスクを分散して、リスクをヘッジしておきます。これで失うものもあるんですが、これを投資に必要なコスト、必要経費と考えます。これが大きな違いです。

例えば明日、大暴落が起こるとします。株クラの多くの方が悲鳴をあげて、大損して、退場されると思います。しかし僕は壊滅的な大損はしませんし、かなりの部分をカバーできるようにしてあります。ひょっとすると、かえって儲かるかもしれません。そう用意するためにはコストがかかりますから、その分儲け損なっているわけですが、これを僕は「必要経費」だと考えています。

株クラの初心者が好んで使い、僕は嫌いな言葉に「全力」があります。僕は何かにフルベットなんてぜったいしません。それはただの丁半博打です。

大きな考え方として、アセットアロケーションがあります。米国株のETFかゴールドか悩まれているようですが、僕であれば「どちらも」します。

米国株が好調な時、投資家はリスクを選好しています。これをリスクオンと言います。リスクオンの時、安全資産であるゴールドは選好されにくい。ですからパフォーマンスは米国株ETFに劣る筈です。しかし米国株が下げる時(リスクオオフ)の時にはゴールドが選好されやすいです。

ただゴールドは金融危機の時にはやはり下落する場合が多い。しかし戦争などの時は選好されやすいという特性があります。一方的に金は緩やかな長期的な右肩上がりです。今年の上昇はちょっと異常、かつては長期低迷したこともありました。

また債券(米国債や米国社債など)は、リスクオンの時は米国株ETFに大きくパフォーマンスが劣後しますが、米国株が暴落している時でも利益が出ます。この債券も米国債(ソブリン債)は利率が低く、格付けが低い米国社債はその分利回りが高い(プレミアムがある)のが基本です。BBB格と言えばかなり危なそうですが、ハンバーガー屋のマクドナルドなど、けっこうな有力企業があって、年利7%前後だったと思います。

こう言った特性の異なる資産に分散して投資することを、アセットアロケーションと言って、可能な限り安全に投資で儲けるための基本的な考え方です。何かに全力投資しているわけではないので、その分だけパフォーマンスは劣後しますが、大損をするリスクも抑えられています。これが「大人の投資」だと僕は考えています。

もしあれこれ組み合わせてみて、どうやるのがベストかわからないようであれば、再度質問してください。何かに「全力」で投資する限り、大損するリスクは回避できません。よく考えてみてください。