羽生さんが7冠を取った時もあまり面白くなかったですか？

羽生七冠の時は「とりあえずワクワクしたこと」に加えて、「決してライバルがいなかったわけではなかった」ので、今のような気持ちにはなりませんでした。羽生さん自体、タイトルを取られたり、挑戦に失敗したりしながら、七冠に上り詰めたわけです。当時は谷川さんもいたし、羽生世代もすでにいました。島九段や中村九段のようなバイプレーヤーだっていたんです。

今の藤井さんは「影さえ踏ませていない」という印象が強いです。自分より上の世代とは一通り決着つけちゃったし、藤井世代のようなものがまだないんです。その意味で、竜王戦で伊藤匠七段が藤井さんに一泡吹かせたら面白いと思っていたんですが、出だし2連敗です。現役棋士だともう本当に彼か藤本渚四段とかに期待するしかありませんが、藤井さんと対局できるようになるのが、すでに困難な話になっていますよね。とにかくタイトル挑戦者にならないと話にならないので。。。今から奨励会に入る天才少年が5年とかで奨励会を駆け抜けるとは思えないので、後は奨励会にいる10代前半の棋士に期待します。