初めて聖書を読む人間に、おすすめの訳や版はありますか？

今から買われるなら、「聖書　聖書協会共同訳」にされるといいと思います。カトリックとプロステントが双方使う聖書です。出版元は日本聖書協会。ただこれは新しい翻訳ですので、図書館などで借りて読む場合にはまだ置いていない可能性が高いです。この場合は「新共同訳」の聖書を選ばれるといいです。

長い間対立してきたカトリックとプロテスタントですが、20世紀に入ってこれをなんとか是正しようという動きが出てきました。これをエキュメニズムと言うんですが、カトリック、プロステント共通の聖書を作ろうというのもその一つです。カトリックでは、1962年から開かれた第二バチカン公会議でパウロ6世がこれを支持して以降、一気にエキュメニズムの機運が高まりました。

こうして日本のカトリック、プロテスタント双方の神学者が集まって共同で訳したのが、「新共同訳」です。これが現在、もっとも普及している聖書だと思います。ただ、新共同訳聖書が出されると、さまざまな問題点が指摘されました。それで2010年から新しい共同訳聖書の翻訳作業が始まり、2018年に完成したのが、最初に挙げた「聖書協会共同訳」なんです。だから、これから次第にこの聖書がカトリックやプロテスタントの信者の間でスタンダードな聖書になっていくと思います。