マネジメント能力を養う上で読んでおくべき本があれば教えていただきたいです。

とりあえず、ドラッカーの「マネジメント　基本と原則　エッセンシャル版」(ダイヤモンド社)とカーネギーの「人を動かす」(創元社)は買っておいて損はないです。いずれも古典中の古典です。ただし、ドラッカーの「マネジメント」はいきなり読んでも難解だと思います。

具体的なマネジメント能力を上げるんだったら、まず識学社長の安藤広大さんが書いた「リーダーの仮面」(ダイヤモンド社)が独創的なマネジメント術の本です。今年出版された「任せるコツ」(山本渉著、すばる舎)も良い本でした。「ダークサイドスキル　本当に戦えるリーダーになる7つの裏技」(木村尚敬著、日本経済新聞出版)はユニークな一冊。

マネージャーになったばかりで戸惑っているなら、「管理職1年目の教科書」(櫻田毅著、東洋経済新報社」が参考になります。最近新版が出たみたいです。同一著者で「管理職3年目の教科書」もあります。

「なぜ部下とうまくいかないのか」(加藤洋平著、日本能率協会)はタイトル通りの本。発達心理学の見地から書かれています。「フィードバック入門」(中原淳著、PHP研究所)は部下とどうコミュニケーションを取ればよいかが書かれた実践的なノウハウ本です。部下育成で悩んだら「自分の頭で考えて動く部下の育て方」(篠原信著、文響社)や「対話型マネージャー」(世古嗣一著、日本能率協会)が参考になると思います。部下に怒りが抑えられなくなったら「アンガーマネジメント入門」(安藤俊介著、朝日新聞出版)でも読んでください。

コーチング術だったら「コーチングが人を活かす」(鈴木義幸著、ディスカバー・トゥエンティワン)の評判がいいです。チームマネジメントなら「僕たちのチームの作り方」(伊藤羊一著、ディスカバー・トゥエンティワン)がオススメ。後は「チーム作りの教科書」(高野俊一著、アルファポリス)あたり。

KPI、PDCAを学ぶなら「問いのデザイン」は良い取っ掛かりになると思います。実際の応用では「最高の結果を出すKPIマネジメント」(中尾隆一郎著、フォレスト出版)が使えるでしょう。PDCAの回し方についてはたくさん本が出ているんですが、その中では「xDrive 質問でPDCAは加速する」(荻野純子著、キングベアー出版)が古いと言われがちなPDCAに新境地を切り開いた本です。ベンチャー企業のマネージャーたちに最近評判が良いのは「急成長を導くマネージャーの型」(長村禎庸著、技術評論社)あたり。

「最高のチーム　グーグル流最少の人数で最大の成果を生み出す方法」(ピョートル・グリバチ著、朝日新聞出版)にはチームパフォーマンスを上げるためのノウハウが書かれています。グリバチさんには「心理的安全性」というポジティブな組織の作り方についての著書もあります。生産性を上げたいなら、マッキンゼーの人材育成マネージャーを務めた伊賀泰代さんの「生産性　マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの」(ダイヤモンド社)は一読の価値があります。

自分たちの組織に疑問を感じたら「なぜ人と組織は変われないのか」(英治出版)が参考になるでしょう。「だから僕たちは、組織を変えていける」(斎藤徹著、クロスメディア)も評価の高い一冊。日本軍がなぜ失敗したのかを研究した「失敗の本質」(中公文庫)は歴史的名著なんだけど、今手に入るのかな。失敗を活かそうとするなら「失敗の科学」(マシュー・サイド著、ディスカバー・トゥエンティワン)。会議のあり方を変えたいなら会議ファシリティの入門書として「世界で一番やさしい会議の教科書」(榊原亮著、日経BP社)から入るのがいいと思います。

「ハイアウトプットマネジメント　人を育て、成果を最大にするマネジメント」(アンドリュー・グローヴ著、日経BP社)は元インテルCEOが書いたマネージャー向けの理論書です。「マネジャーの最も大切な仕事」(アマビール/クレーマー著、英治出版)も良書。

さて冒頭に挙げたドラッカーの「マネジメント」でつまずいたら、頼りになるのはやっぱり「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」(岩崎夏海著、ダイヤモンド社)になるんでしょうね。この本で理解できなかったら、ドラッカーは諦めてください。

マネージャークラスの人のマネジメントスキルを上げるための本としてお勧めできるのは、このあたりです。