ハンナアレントの人間の条件は中学１年生が読むには流石に難しいと思いますか？

それはその中学1年生にどんな読書歴があり、どれぐらい成熟した頭を持っているか次第だけど、一般的には「かなり難しい」と思う。ハンナ・アレントは僕にとって最も重要な思想家の1人で、「人間の条件」は「全体主義の起源」と並ぶ彼女の最高傑作だから、読めるのであれば全世代に読んで欲しい。でも、世の大学生に読ませたら、最後まで読んでちゃんと理解できる人は数%だと思う。決してやさしい本ではない。

僕自身の中学1年生当時を振り返り、もし「人間の条件」を読んでいたらどうだっただろうかと考えると、とてもではないが歯が立たなかったと思う。僕がアレントの存在を知り、気になり始めたのは高校生の時だけど、「人間の条件」を初めて通してきちんと読んだのは、大学生になってから。「政治哲学書を読む」ということについてのある程度の慣れがあるなど、ちょうど機が熟していて、よく理解出来たから、これは物凄い本だとわかり、感動できたんだと言える。

どうしてもアレントの著作を中学1年生に読ませてみたいなら、まだ「暴力について」とか「過去と未来の間に」とかの方が取り組みやすいんじゃないかな。ただ、これも語られているさまざまな事象についての最低限の前知識が必要だけど。僕だったら「暴力について」に収録されている「政治と革命についての省察」をまず読ませて、反応をみてみるかなあ。