女性にとっての良い靴とはどういったものになるのでしょうか。

質問

「良い靴」について質問なのですが、男性用は綺麗に磨かれたジョンロブのような靴が所謂良い靴なのではないかと思うのですが、女性にとっての良い靴とはどういったものになるのでしょうか。
高級な靴となるとルブタンやマノロブラニクなどのハイヒールが思い浮かぶのですが、何か「良い靴」というのとは違う気もします。

回答

靴はファッションの一部ですから、「良い靴」の定義はその人の趣味嗜好や生活、他のファッションによって変わってきます。「ジョンロブ」は良いスーツを着ているビジネスマンには強力な武器になりますが、万能の答えではありません。

僕はジョンロブのパリ・ビスポークで靴をフルオーダーメイドしているので、あちらに僕の木型(ラスト)がありますが、靴を誂えるのに、パリに3回行って、8ヶ月ぐらい待ってローファーなどを受け取る。これに1足100-150万円かけるというのは、もはや良い靴以上の酔狂です。

女性のファッションは男性と比較できないほど多様ですから、こうした面での良い靴の定義も多様です。全体のファッションと統一性が取れているのが良い靴です。

しかし「良い靴」と言うには絶対条件があります。それは「よく手入れされた靴」であることです。そして「良い靴」というのは、持ち主がよくお手入れしてくれれば、その愛着に応えてくれる靴のことだと僕は思います。

さすがに最近は履いていませんが、30代の時に履いていたジョンロブのオックスフォードが、何度かソールを交換しながら、今もいつでも履ける状態であります。連投はぜったいさせずに、大切に履いてきましたが、経年変化で独特の味わいがあります。いい加減な靴では型が崩れてくるので、こうはいきません。

「おじいちゃんからもらった靴」を嬉しそうに履いている友人がいるんです。もちろん相当古いものですし、足型も彼に完全には合っていないと思います。それを良く磨いて履いています。この話を仲の良いホテルマンと靴談義をしていて話題にしたところ、彼らの感覚では「良いお家で育った方」に見えるそうです。孫や子にまで履けるような良質な靴を履いていた親族がいるという理屈です。

ただお金をかければ良いというものでもありません。確かにこの友人は旧華族の家の息子ですから、ホテルマンの見立ては間違っていませんでした。