美味しい生ハムを食べてみたいです！

生ハムと言えば欧州ならスペインかイタリア、アジアなら中国。それぞれ味わいが異なるので、自分の好みに合う生ハムを選ぶことになる。

生ハム大国のスペインであれば、白豚の「ハモンセラーノ」か黒豚の「ハモンイベリコ」が選択肢。

このうち「ハモンセラーノ」の味は、コクあり、塩味濃いめ、食感硬め。オススメは「ハモン・デ・トレべレス」「ハモン・デ・エルエル」という産地の長期熟成タイプ。「ハモンセラーノ」はスペインの山岳民族が肉の保存のために作ったものだから、なかなか野趣溢れる。

一方、「ハモンイベリコ」はイベリコ豚にドングリを食べさせて作る。通常「ハモンセラーノ」より熟成期間が長く、2年とか4年といったものがある。味は、極めて濃厚なコクと甘み、塩味やや薄め、食感柔らかめ。

「ハモンイベリコ」にはランク付けがあって、そのうちの最高級品が「レアルベジョータ」。スペイン王室御用達と聞く。これはイベリコ豚のうち特定の産地や肉質の豚が認定される「ベジョータ」という豚肉を2年以上熟成させたものを言う。

「レアルベジョータ」のポイントは、生ハムとしては比較的塩味が薄めなので、厚めに切って食べらること。だから買うならそれなりの厚みがあるものがいい。僕はこの「レアルベジョータの厚切り」が一番好き。

イタリアで生ハムと言えば、パルマ産の「プロシュート・デ・パルマ」。イタリアンやフレンチのサラダなんかに付いていることが多いあれ。良質なものは「パルミジャーノ・レッジャーノ」という美味しいチーズの製造過程で出来る乳清を豚に食べさせ、一般的なプロシュートより長期間育成して製造する。

味は旨味と甘みあり、塩味中口、食感柔らかめ。オススメはパルマハム協会の認定マークである王冠が付いたもので、「D.O.P」という原産地呼称も付いているもの。産地はパルマの中でもパルマハムの聖地と言われるランギラーノという町にある工場で製造されたものなら、ほぼ間違いがない。ただ現在イタリアからの生ハム輸入は病気発生のため禁止中。同様の製法で製造された米国のイタリア人経営者によるプロシュートが代わりに輸入されている。

中国は「金華火腿」。豚に穀物を与えず、茶殻や白菜を食べさせて飼育するので、独特の味わいがある。中華料理で使われてきたものなんだけど、中華料理では基本的に生ハム状態ではなく、スープの出汁取りの素材や蒸し物、炒め物の食材として珍重されてきた。これを最近ではオードブルなんかでも食べるようになっている。

ただ金華火腿は中国がちゃんとブランド管理していないので、いろんな「金華ハム」が出回ってしまっている。本物の「金華火腿」は浙江省の金華地区で両烏豚という小型の豚の品種で作ったものを指すんだけど、日本でこれを入手するのがけっこう難しい。金華地区でただの豚で製造したものや、金華豚という豚の品種で日本国内で製造されたものが、みんな「金華ハム」を名乗っている状態。

また本来は出汁取りや食材として使用されてきた経緯があるので、独特の塩辛さがある。これが大好きという人もいれば、苦手という人も多い。最初の生ハムお取り寄せにはあまりオススメしない。

フランスは基本的に加熱ハムの国だけど、生ハムとしてランド地方で製造された「ジャンボン・デ・ヴァイヨンヌ」がある。これは決まった作り方があって、本物はIGP(保護地理的表示)を認定を受けており、ロープリューと言われるバスク十字の認定マークが付いている。

味は旨味と甘みが複雑に入り混じっており、塩味はやや強み。だから一般的に薄切りにして食べる。そのままオードブルで食べるほか、薄切りをメロンなんかに乗せて食べたり、厚めに切って軽く炙って食べたりという感じ。

日本の生ハムは伝統的にドイツの「ラックスハム」という作り方で作られてきた。僕はこの味が苦手なのでほぼ食べない。ただ最近はプロシュートやハモンイベリコの作り方で作る製造業者も出てきた。有名どころは「ジャンボン・ド・ヒメキ」「あおもり生ハム」あたり。あとは「国産生ハム協会」のオンラインショップなんかでチェックしてみて。

ただ協会ができたのがまだ7-8年前だから、日本の生ハムが成長するのはこれからだろうね。いずれジャパンウィスキーみたいになると良いね。

生ハムは買い方にもスライス、ブロック、骨付き、原木の4つの状態がある。原木に近いほど新鮮な生ハムが食べられる。だけどデカいし、家がハム臭くなるし、食べ切るのが大変だしで、原木とかだとなかなか大変。管理の手間もかかる。我が家は人数が多いし、家政婦さんが管理してくれるから、原木でお取り寄せしているんだけど。