縁日の屋台がお好きなりおぽんさん、酉の市には行かれますか？

最近は浅草の酉の市には行っていません。母方の祖父が存命中、こういうものが大好きだったので、初孫だった僕はよく連れて行かれました。

酉の市と言えば熊手ですが、この祖父は商売人(神田界隈にある中企業の創業経営者で神田明神の氏子) でした。ですからお金と福をかき集めるという熊手を、鷲神社の酉の市で購入するのがお決まりでした。

この熊手は年々大きくしていくのがよいとされていますが、僕が幼い頃には、それがもう幼い僕には抱え持って帰ってくるのが大変なほどの大きさになっていました。昨今で言えば何万円はするシロモノだったと思います。これを実家のお仏間の仏壇の上に飾り付けるのは大仕事でした。よく考えれば仏壇の上に神社の縁起物というのも変ですが、当時は誰もそんなことは気にしていませんでした。

毎年、去年の熊手を納めて、酉の市で新しい熊手を購入してくるというこのしきたりは、祖父の代で途絶えています。そういう話を一切信じなかった後継ぎの叔父は、実家の家業をちょっと左前にした上に早死にしてしまいました。こうして考えると案外この熊手には、けっこうご利益があったのかもしれません。