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国民民主党に対する私見を教えてください。

質問

2024年10月28日 回答

国民民主党に対する私見を教えてください。

回答

国民民主党に対する僕の私見を述べます。

①国民民主の選挙公約って、確かに実現出来たら良いなぁって思うことが並んでいました。魅力的です。ただ国民全方位に良いことが並んでいるので、気前が良過ぎて、お財布の中身(財源)が一切考慮されていないように見えます。となるとクレカでこれを買う(赤字国債を膨大に発行する)か、なんかの出費をものすごく切り詰めて(事業仕分けをする)か、そのどちらかで実現するしかありません。

僕はお仕事上の必要があって、国民民主の選挙公約を熟読、その公約の実現に必要なおおよその財源額まで試算してみました。その結果、至った結論は「これは2009年に民主党が政権を取った時のマニフェストと、本質的には何も変わらないな」というものです。あの時も民主党は「財源はある」と言って、国民全方位に魅力的な政権公約を打ち出し、国民の期待を集めて選挙で大勝、政権交代を果たしました。

しかし財源はないものはないんですから、政権を取ってからの民主党は政策的後退を重ねに重ねて、結局、事業仕分けをやることになり、目先の国民にウケそうな政策をやるために、日本の未来に大切な予算を大幅にカットするに至りました。消費税廃止と言っていたのに、最後の最後には消費税増税まで打ち出しています。

国民民主の選挙公約は財源を考えていないという意味で、2009年の民主党のマニフェストと本質的に同じなのに、民主党政権を散々バカにする人たちが、国民民主の選挙公約にはコロッと行くのは、やっぱりみんなサルなんだなぁと、僕なんかは思ってしまうわけです。ただ選挙に勝つという意味では、あの選挙公約はよく出来ていたと思います。

②国民民主の最大の支援母体は連合です。連合の芳野知子会長からは、立憲民主以上に気に入られているかも知れません。ですから国民民主の選挙公約を熟読すれば、「働く人には美味しい政策」がたくさん盛り込まれていました。だから今回の選挙で広範な国民層に支持を集め得たわけです。

ただ当然ですが、そういう政策にはどこかに皺寄せがきます。熟読した結果、僕はそれを富裕層や資本家階級、大企業であると読み取りました。この辺は確かにアベノミクスのメリットを享受しまくってお金を溜め込んでいますから、その懐を狙うのはある意味で正しいです。

ただ僕は典型的な「資本家」ですから、やっぱり自分の懐を狙ってくる政党は支持しづらいところがあります。資本家であれば、おんなじ帰結に至ると思います。

ところが日頃散々「俺たちは資本家(になる?)」とほざいている株クラの人々が、労働者の権利拡大を主張する国民民主の政策にコロッといったわけですから、「お前らって結局資本家じゃなくて、資本家を夢見るだけの労働者階級なんじゃない」と、僕は嗤ったわけです。

③みんなはあまり気にしていないようですが、かつての民主党の正式な後継政党は立憲民主党ではなく、国民民主党なんです。法人格を受け継いでいますから。最大の支持母体も先述のように連合です。国民民主は玉木さんと榛葉さんという二枚看板には清新感があって魅力的です。あのお二人に魅力を感じて、今回たくさんの無党派層が票を投じたのはよく理解ができます。

でもその他の議員の出身母体をどこまでご存知で、皆さん国民民主党に票を投じられたんでしょうか。お2人以外はゼンセンとか自動車総連、電力総連といった連合の産別の組織内議員が大半じゃないですか。別に労組代表の議員が悪いとは言いませんが、労組と市民運動家出身者が大半の政党という意味では、かつての日本社会党や、左翼系議員が党を牛耳ったかつての民主党とほぼ同根です。

その意味でもかつての民主党政権のことを散々に言う人たちが、国民民主党を支持しているのは不思議だなぁとは思うわけです。あの民主党政権を良かったと思える人が、国民民主党を支持するのはよく理解できます。

しかし民主党政権がひどかったと言っている人たちが、民主党と国民民主党が同根であると気が付かない、あるいは立憲民主党と国民民主党は本質的に同根なのに立憲民主党を散々バカにしながら国民民主党は良いと言う。これは一般的な国民には分かりづらい話なので、わからないのは理解できます。しかし政治通であればわかって当たり前の話ですので、これがわからないのであれば、政治的なセンスはないね、と僕は言ってしまうわけです。

④国民民主党の今回の選挙公約は、例えば医療制度改革で現役世代の社会保険料の負担を減らすと言われています。高齢者の自己負担を増やすと主張されているなら、これは筋が通っています。しかし後期高齢者拠出金への公費投入増も公約に掲げていらっしゃるのですよ。現役世代の社会保険料を減らして後期高齢者への公費投入を増やすと言えば、そりゃ全世代から支持されます。

でも後期高齢者へ投入する公費って何ですか。そりゃ税金に決まっているじゃないですか。減税を言いつつ、増税するしかない政策を言えば、そりゃ矛盾しているんじゃないって笑うのがふつうだと思いませんか。たぶん財源は富裕税創設と金融所得課税強化です。実際、富裕層への課税強化についてはすでに公約の中で言及されています。ですから1億円以上の金融資産を本当にお持ちの方であれば、支持しづらい政党です。だから株クラってなんだかんだ言って金融資産はあんまり持っていないんじゃないのっておかしくなったわけです。

このほか、中小企業の賃上げを促す(労組政党ですからこの政策はうなづけます)ために、中小企業の雇い主が払う社会保険料の削減、消費税の5%への引き下げやインボイス廃止、ガソリン代や電気代、ガス代の引き下げ(そのためにガソリン税を軽減したり、補助金を増やすそうです)、賃上げ減税の拡充、医療従事者の賃上げをされるそうです。

賃上げをして減税をするんですから、誰からも文句は出ません。しかし国民民主党の公約を読んでいると、「補助金の拡充」でこれを実現するって文句がいっぱい出てくるんです。この「補助金」って出もとは財源、すなわち税金か赤字国債なんですよ。国民民主党の公約には至るところに「補助金」が出てくるので、日本を補助金漬けにする気でしょうか。これは著しく日本人の自助努力意識を削ぐものです。

そして財源はドラえもんのポケットじゃないんですから、国民民主党の政策を本当に実現するには、どこかで大幅増税するか、あるいは消化不能なほどの天文的な赤字国債を発行する必要があります。

増税すれば公約違反ですし、日本国債はアベノミクス下でももはや買い手がいなくなって、市中銀行を経由して日銀が実質的に引き受ける事実上の財政ファイナンスをやっています。日銀がじゃぶじゃぶ日銀券を刷るのは理論的には可能ですが、これはマネーサプライを異常に増やすこととニアリーイコールです。

マネーサプライをコントロールせず増やせば、激しいインフレが起きるのは経済学の常識です。ですから多少の賃上げなんてインフレで実質的には相殺されます。また円安が進行します。実際アベノミクスで日本国債の事実上の財政ファイナンスをやった結果、約10年で50円以上の円安が進行しています。国民民主党の政策を本当にやれば、そんなものでは済まないはずです。

日本は資源を輸入に頼っています。ですから円安が進めば、輸入物価は上がります。例えばガソリン価格の暫定税率を撤廃すれば目先のガソリン価格は下がります。しかし長期的に円安になれば、ガソリン価格の元である輸入原油価格は円換算で爆上がりします。こうした輸入物価上昇によるコストプッシュ型のハイパーインフレを受け入れるつもりで、みんな目先のガソリン価格の引き下げを期待しているんですかね、とは思うわけです。僕はガソリン税が下がるより、原油価格が爆上がりする方が嫌です。

こうした仕組みが一般国民には理解できないのは仕方ありません。しかし多少なりとも経済学を学んだ人間であれば自明の理なはずです。これがわからないぐらい経済に無知なら、投資家なんて目指さない方がマシです。ですから、国民民主の減税策にわーいと言っている株クラの方は、ああこの人は経済学には無知なんだなぁとは思ってしまうわけです。

また中小企業の賃上げ策として、価格転嫁の適正化を挙げておられて、これは僕もやるべきだと思います。独禁法や下請け法の強化も打ち出されていて、僕はこれも一部はやるべきだと思います。しかし大企業だって、納品価格が上がって、独禁法が強化されて効率が悪化すれば、価格に転嫁せざるを得ないんですよ。これ、当たり前の話ですよね。と言うことは、ここでも物価が上がります。運送業の「標準的な運賃」も推進される方針なので、運送コストも上がるでしょう。

このようにいろんな要素で物価が上昇すれば、名目賃金は上昇してもインフレ率で補正した実質賃金はむしろ大きく下落する理屈です。これも経済学徒であれば大学生でも分かる理屈です。

農林水産分野には食料安全保障基礎払いをされるそうですし、地方交付金も増額されるそうです。国民民主党の公約は、このように減税と賃上げ、補助金の増額のオンパレードなので、さすが労組政党の主張だな、と感心はしましたが、日本の税収は消費税23兆円、所得税22兆円、法人税15兆円が「基幹3税」と言って三本柱です。

この三本柱でぜんぶ減税をやって、社会保険料を減額して、子育て支援から高齢者の医療費負担支援を増額して、中小企業の賃上げ支援から農林水産業者への補助金まで創設する。これだけ美味しい話を全世代向けにてんこ盛りすれば、この政策が一般国民にウケるのは理解できます。

でも本当に試算をしていれば、これらの政策を同時にぜんぶやるのが不可能であることは、ちょっと経済学をかじった人であれば、10分ぐらいあれば分かるはずです。試算もしないで美味しい政策を発表しているのであれば無責任だし、試算して不可能な政策だと分かっていても党勢拡大策として発表しているのであれば悪質です。

天文学的な規模の赤字国債を発行して日銀に引き受けさせる手はありますが、赤字国債はいずれは償還するんですから、未来の日本国民にツケを回して、僕らが美味しい思いをするのは僕は気が進みません。猛烈な円安とハイパーインフレが発生すれば、国の借金は実質的に目減りする効果がありますが、国民生活は地獄になります。

たぶん国民民主党の政策を本当にやれば、「日本のトルコ化」が進捗します。トルコのエルドアン大統領の経済政策は外から見ていればアホに見えますが、ポピュリストなのでなんだかんだと国民に人気がある政策はやっているのですよ。経済成長率は5%と日本より高いです。名目賃金も上昇しています。

しかしあの政策の当然の帰結として、年間物価上昇率は50-60%の上昇で推移しています。また2020年頃には1ドル6リラぐらいだった為替レートはわずか4年で1ドル34リラぐらいまで急速なリラ安が進行しています。国民民主の公約を本当に実行すれば、日本でもこれと同じ現象が起きると僕は予測するので、賛成はできないわけです。

いずれにしても、僕みたいな年寄りは、かつては日本社会党がこういう公約をしばしば発表したことを思い出させ、最近では2009年の民主党の政権マニフェストを彷彿とさせるものなので、これにまたも騙される人は「政治的なセンスがない」とは思ってしまうわけです。

でも選ぶのは日本国民なので、僕がこれ以上何か言うことはありません。僕はいつでも日本を脱出できるように海外に資産を分散して、海外不動産も取得してありますので。ただ自分が生まれた国が経済的に破綻する姿はあんまり見たくはないだけです。

これは広くご意見を受け付けます。なお公平のために申し添えておけば、今回の衆院選での自民党の公約の経済政策は、かつて読んだことがないほど、中身がありませんでした。いやはやまったく頭が痛い😓。

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