国債を貨幣発行で補うというのはシニョリッジの考え方という認識であっているのでしょうか。

そうですね。シニョリッジ(通貨発行益)の一つとして、中央銀行(日本銀行)が国債を引き受けるというのはあり得ます。この場合、「利子が不要な貨幣を発行して、利子がある国債を購入する」ということで、日銀には通貨発行による利鞘が得られます。これがシニョリッジに相当します。これは仕組み上、最終的には国庫納付金として、政府の税外収入になります。

一見すると美味しい話ですが、これをどんどんやればマネーサプライがアホみたいに増えて、通貨価値の希釈が発生、悪性のインフレと酷い円安が発生するので、些細なシニョリッジより日本経済に与える悪影響の方が遥かに大きいです。

このため、国債を日銀が直接引き受けることを「財政ファイナンス」として、財政法第5条で、特別の事情があって、国会が特に議決を行った金額以内以外は、原則として禁止しているわけです。ですから、日本では国債に「市中消化の原則」というのがあるんです。

株クラにはこの話の全体を知らずに、シニョリッジの部分だけを取り上げて、日銀が国債を引き受けるのは美味しいんだという主張を展開するアホがけっこういますね。そんなアホまでは僕は知りません。