株式の投資・トレードにおける『期待値』とはなんですか？

めちゃくちゃ単純に言うと、投資における「期待値」は、儲かる確率ってこと。でも、40%の確率で1000円儲かる選択Aと80%の確率で300円儲かる選択Bのどっちが良いか比べなくてはならないのが株式投資でしょう。実際にはこれに損失が出る可能性もある。

だから一つの選択肢についてのアウトカムの確率と、それに紐付くリターンを計算して、儲かる確率を出す。これが期待値。例えばさっきの選択肢Aで40％の確率で1000円儲かるけれど、もし60%の確率で500円損をするなら、

(0.4×1000)+(0.6×-500)が、選択肢Aの期待値になる。つまり、確率とその結果が出た時に得られるスコア(確率変数という)をかけて、その和を出したものが、「期待値」なんだ。

いい加減な設定したから、選択肢Aの期待値は100円になってしまった😅。

では選択肢Bの期待値も出してみよう。80%の確率で300円儲かるけれど、残り20%でもし600円損するなら、

(0.8×300)+(0.2×-600)が選択肢Bの期待値になる。つまり選択肢Bの期待値は120円なんだ。

だから期待値が高い選択肢Bを選んだ方が、この場合、合理的な選択だってことになる。ここでは選択肢は２つだったけれど、実際にはたくさん選択肢はあり得るよね。

こうやってそれぞれの期待値を出していって、どれが最善の選択かを比べるのが、株式投資で勝ちやすくなるためのイロハのイなんだよ。実は株式投資はこの期待値の加重平均である期待収益率(期待リターン)がわずかながらプラスのゲームとされているんだ。

以上が期待値の基本。ここまではわかった方がいい。めちゃくちゃシンプルな例だったけれど、こうやって期待値を出してそれを比較検討したり、積み重ねていくと、ある程度まではリターンを計算して、最適化・最大化できる。

以下、いろいろ思い付くままに書いていくと、例えば、さっきの例では、あらかじめ何%の確率でいくら儲かるかわかっていたけど、現実ではそんなことはないよね。だからいろんな方法を使ってこれを出す。

データ分析が好きな投資家がよく使うのが「ヒストリカルデータ方式」と呼ばれるもので、過去のデータの加重平均を取って、それをその投資における(期待値の加重平均である)期待収益率(期待リターン)とする。これは客観的に見えるけれど、データを取る期間の長さなど、取り方によって結果が変わるのが欠点。

一方、いろんな手段で将来を予測して期待収益率を出す手もある。これは面白いやり方なんだけど、分析する人の腕によって結果が大きく左右されてしまうのが欠点。ちなみに僕はこっちでやっていて、ここで「シナリオアプローチ方式」というやり方を採っている。これはさまざまなファクターからシナリオを描いて、そのシナリオごとの利益率を計算、それを加重平均処理して期待収益率を出すものなんだ。僕がやたら長期シナリオとかシナリオと言っているのは、実はこのシナリオアプローチで期待収益率を出して、最善の選択肢を選ぶためのものだったんだ。

この期待収益率は理論株価を出す時にも利用できる。「現時点から見てある将来にどれぐらいの利益が見込めるか」の加重平均が期待収益率だから、「その将来から時間を巻き戻して期待される現在の価値」を判断する利率のことを「割引率」と呼ぶんだ。DCF法で言えば、理論株価を計算する場合、キャッシュフローを現在価値に割引くわけだけど、この時に使われる割引率にはWACC(加重平均資本コスト)を使うのが一般的。

で、このWACCが何かというと、株主資本コストと負債コストを出して、それぞれの資金調達方法の割合を加味して加重平均したもんなんだよ。で、企業から見ると株主資本コストと言うけれど、これを株主側から見ると、その株の期待収益率になるって具合。つまり株主資本コスト=株主の期待収益率。これが企業をM&Aする際の企業価値評価にも良く使われる。この辺は一度ではわからないだろうから、本でも買ってよく研究して。

実際には、こうやって個別の銘柄などの期待値を計算してどの銘柄に投資するかといった単純なことだけでなく、いろんな期待値やら期待収益率やら期待効用関数やらを使って計算して、保有株の期待値から、それを組み合わせたポートフォリオの期待収益率を最大化するようにしたり、株式投資と金などのハードアセットや不動産投資、債券投資などの期待収益率を比較して最適なアセットアロケーションを割り出したりする。これはノンリスク資産とかリスクプレミアムとか出てきて、もっと複雑になるけれど。

例えば、ゲーム理論で良く出てくる「混合戦略におけるナッシュ均衡の期待効用を導き出して、最大化する」とか言っても、もう面白いと思ってくれる人はあまりいないよね。。。でも最近の質問箱を見ると数人はいるのかなぁ。。。

まあ、それでも期待値周りのことは、少しはわかったかな？　ここまで寝起きの頭で一気に書いただけで、まったく推敲してないから、何処か間違ってるところがあったら、わかってる人が直して😅。僕はもう知らん。

質問者さんは、もしこの説明でわかんなかったら、株式投資で勝つには数学的なアタマがあった方が儲かる確率が高い、つまり期待値が高いってことだけ、わかってください😂。