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RISC-VはARMの代替になれぬまま尻すぼみしていくのだろうか?

質問

2024年02月09日 回答

RISC-VはARMの代替になれぬまま尻すぼみしていくのだろうか?

回答

気が早過ぎるよ😅。ISAなんてそう簡単には代替できるもんじゃない。あのカビが生えてるCISCのIntel x86がまだ生き延びてる世界。ARMの牙城を崩すのにはまだまだ時間がかかるのは当たり前。やっと色んな開発環境が揃い出して面白くなってきたところじゃない。今のところ導入コストが高過ぎるけど、やっぱりロイヤリティのタダはデカい。Linuxが勝った歴史をおさらいしてごらんよ。

RISC-Vについては、Googleが去年12月の「RISC-Vサミット」で、Androidの最優先プラットフォームとして正式サポートすることを、ようやく打ち出したばかりじゃないか。そのエミュレータが今年出る見通しだから、その上で開発が進むのはさらにまだ先になるなる。Google は他にもQualcommと「Snapdragon」なんていう携帯機器向けのRISC-Vベースのプロセッサの開発を進める計画を昨年10月に発表している。

そして、Nvidia、Qualcomm、そしてAppleあたりがようやくその気になっているというところ。この3社はシステムソフトに依存しないマイクロコントローラはすでにRISC-Vベースに置き換え始めたと聞いてる。アプリケーションプロセッサとして採用するのはまだ無理だけど、マイコンならもうRISC-Vの方に勢いがあると僕は見ている。Apple がRISC-Vのプログラマを採用したとか、僕は噂の真偽を探っている最中。

もう一つデカい動きとしては、Synopsis が昨年11月に自社IP「ARC」でRISC-Vを採用、このIPを今年第2四半期から提供すると発表したこと。EDA最大手のSynopsis だけど、実は半導体IPコアでもARMに次ぐ業界第2位にいる。そのSynopsis がIPを提供してくれれば、半導体業界での安心感がグッと増すから、特にマイコンではさらに普及に弾みがつくと予想している。

さらに言えば、あの天才半導体アーキテクト、ジム・ケラーが率いるカナダのTenstorrent社ではRISC-VベースのプロセッサやAI向けのアクセラレータを開発中。そこにApple でiPhone やiPad 向けのプロセッサの開発をやっていたウェイ・ハン・リエンみたいなおっさんがジョインしている。リエンはApple の中にいてARMのプロセッサを研究しながら、A6、A7プロセッサを開発したらしい。ARMのアーキテクチャは知り尽くしているわけだ。だからぜったいARMに勝てるものを出してくるはずだ。

そして最大のイフはトランプが再び大統領に就くかどうかと僕は見ている。彼が大統領になれば、米中貿易摩擦が再燃するかもしれない。この時、ARMのIPには規制がかかる可能性がある。だけどRISC-Vはオープンソースだから規制の網がかかりにくい。RISC-V勢もそれは先刻承知だから、2020年に本拠地を米国から中立国のスイスに移している。

この「RISC-V International 」という組織のメンバーをチェックして見ろよ。プレミアメンバーには、Google、Nvidia、Qualcomm、Intel、Synopsis なんかに混ざって、中国の有力企業がやたら多いのがわかるはずだ。Huawei もAlibabaもTencent もプレミアメンバー。彼らにとってRISC-Vはいざっていう時の代替手段なんだろう。だからトランプが何かやり出せば、中国企業の間で一気にRISC-Vが普及する可能性があるんだ。すでに某中国企業がインプリし始めたなんて噂まで流れている。

なお、戦略メンバーまで見ていくと、AMD、IBM、Analog Devices、Infineon、Cadence、Meta、Samsung 、Siemens、NXP
と、ロジック半導体分野を横断する、かなりの豪華メンバーだってことがわかる。みんな、ARMだけじゃやっぱりマズイと考えているんだろう。

ここで日本企業は相変わらず影が薄いけど、ついに今年1月、デンソーがRISC-V Internationalに加盟している。デンソーとNsitexeは「Akarina 標準のRISC-V CPU」なんてものを開発することも打ち出したと聞く。他にソニー、ルネサス、そしてラピダス、ソシオネクストあたりもRISC-Vのコミュニティにはいるようだから、このメンツから考えると、昨年12月に結成されたASRAで研究開発される車載向けSoCは、RISC-Vベースになるんじゃないかと僕は考えている。もしそうであれば、ASRAが予定通りにチップレット技術を2028年までに確立した場合、2030年から日本車に搭載される車載向けSoCは一気にRISC-Vベースになるわけだ。

ARMがこのまま逃げ切るか、RISC-Vが逆転勝ちするかどうかが面白くなるのは、どんなに早くても5年後になるというのが僕の予測。RISC-Vベースのプロセッサが本格的に出て来るのはまだ先の話。でもARM絶好調決算の裏でコトは進んでいるんだ。一般投資家が気がつくのはずっと先のことだろう。でもお楽しみは、実はこれからなんだよ。

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