日本の将来にかなり悲観的なのですが、何か希望が持てることはありますでしょうか？

質問

日本の将来にかなり悲観的なのですが、何か希望が持てることはありますでしょうか？皆が日本の将来に、また期待を持てる時代は果たして今後訪れるのか、りおぽんさんの見解をお願い致します。

回答

僕はみんなが言うほどには日本の未来について悲観的ではありません。日本のGDPがドイツに抜かれて世界第4位に転落したことが扇動的に報道されていますが、僕はもはやGDPの規模で優劣を争う国ではなくなったと認識しています。では何を見るかと言えば、対外債権です。

日本は32年連続で世界最大の対外債権国であり、対外純資産残高は400兆円を超えます。16年連続で増加しており、円安なので昨年末の残高が増えることもほぼ確実です。対外純資産残高のうち半分を直接投資が占めており、これは順調に増えています。これはある意味、日本国内には投資機会がないので海外に投資しているという悲しい現実を示しています。しかし人口も減少し、いろいろ衰えている日本にあって、これはやむを得ません。

日本はもはや「過去に働いた分を投資して暮らす老大国」であることを認めてしまった方が得策だと僕は思っています。その視点で見れば直接投資が増えているのは悪いことではないし、長期に渡って直接投資の収益率が上昇し、しかも再投資収益の割合がどんどん増えていることも悪いことではありません。

日本が自国で生産設備を大量に保有してどんどんモノを作って世界に輸出する、というモノづくり大国の幻想にしがみつくのは、もうやめた方がいいと思います。付加価値が高い産業だけ残して、後は研究開発などに注力、それで得た基礎特許などを握ってそのパテント収入で効率的に稼ぐ。目指すは世界のファブレスカンパニーです。後は直接投資による収益で悠々自適の暮らしを送る、というのが、取るべき日本の道なんじゃないかと僕は考えています。

なので、質の高い対外純資産残高が増えていることに、僕は希望を見出しています。一方、国内政策では未だに付加価値の低い産業の復興にしがみついている半面、研究開発投資が今ひとつ十分ではないこと、特に高等教育機関や政府系の研究機関の予算があまりに少ないことに、強い危機感と不満を持っています。