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閨閥結婚って、 今もある?

質問

閨閥結婚って、
今もある?

回答

「閨閥」というものを、どう捉えるかでしょうね。「同一階級の間で婚姻関係を結んで、階級を維持する」「階級が上の家庭の女性を妻にもらって、家格を上げる」という意味での閨閥であれば、僕の親の世代ぐらいまではいっぱいありましたが、日本における「階級制度」が崩壊しているので、だんだんなくなって来ています。

典型的なのが天皇家で、大昔、お后さまは宮家か摂関家からもらうのが通例でした。大正天皇の皇后は旧姓が九条節子ですから、摂関家の九条公爵家出身ですが、これが藤原家からお嫁入りした最後の皇后になっています。昭和天皇の香淳皇后は久邇宮家出身で才が、これまた最後の宮家出身の皇后です。

かつてはこうして、宮家や華族制度下の上級華族が、天皇家の血筋を守るための藩屏として機能していました。大正天皇の生母は柳原愛子ですが、彼女は側室です。柳原家は藤原北家日野流で、維新の功績で伯爵に叙せられた華族で、才女の誉れも高かったんですが、それでは家格が低くて、皇后にはなれなかったんです。

でも、そんな話も昔話です。華族制度がなくなるとともに、「自分たちは天皇家の藩屏である」という意識が希薄になってきました。現在の天皇陛下の結婚が話題になった頃、週刊誌でお妃候補として取り沙汰された旧華族のお嬢さまたちが、「天皇家なんかに嫁いだら大変」とわらわらと結婚相手を探して結婚していったのは、有名な話です。これが皇太子がお妃選びで苦労するようになった最大の原因です。

実は僕も中身はどうあれ、履歴書的なスペックであれば、家柄もそこそこで、亡くなった祖父が代議士で、財産家でもあって、学歴も就職先も悪くはないとスペック的には申し分ありませんでした。ですから、現天皇陛下のお妃候補と週刊誌で名前が挙がっていた女性と、2件ほどお見合いしています。旧華族の方でした。

こうした天皇家に繋がるような旧華族のお嬢さまを妻に娶って、自分たちの家の家格を引き上げようという閨閥作りも珍しくはなかったです。

今でもこの閨閥結婚がないわけではなく、例えば有力政治家の二世で跡を継ぎそうな男子に、自分の娘を嫁がせる企業家、といった閨閥作りは今でもあります。現在の事例を挙げると差し障りがありそうなので、安倍晋三さんを例を挙げると、安倍さんはお父さんが安倍晋太郎さんで政治家で、岸信介さんや佐藤栄作さんに繋がる政治家の名家の御曹司でした。

一方奥さまの昭恵さんは一般に「元電通社員」とメディアでは紹介されますが、森永製菓の松崎昭雄社長のお嬢さんで、松崎さんは森永創業家の森永家三代目のお嬢さまが奥さまといった具合。安倍晋三夫妻の場合、閨閥作りが目的の結婚だったとは僕は考えていませんが、結果としては閨閥が出来上がっています。こういった形の閨閥であれば、今でもぜんぜん珍しくはありません。

しかし昨今むしろ多いのは、お金を稼ぎそうな優秀な男子に、良家と言われる家の親が自分の娘を嫁がせる形の閨閥作りでしょうか。また裕福な医師が自分の娘を大金を投じて女医にして、有望そうな男性医師と結婚させて、病院を継がせようとするのもよく聞く話です。

この種の婚姻関係を経済的に利用とするのは親に限った話ではなく、男性は医師や弁護士、一流企業限定で、女性は一流大学出身限定という交際クラブがいくつもあります。こういう交際クラブの多くの特徴は、男性は参加費が割安か場合によってはタダで、女性会員の方の参加費がお高く設定されていることです。

僕は頼まれて、独身時代、この手の交際クラブに1回参加した経験があるんですが、女性と上手く会話も出来ないハイスペック男性たちに、女性たちが猛禽類のように品定めに行く姿はすごかったです。僕も数人の女性に取り囲まれて、このうちでとっても可愛かったキャセイパシフィック航空勤務のCAさんと仲良くなりましたが、やっぱりお話しを聞いたら、高い入会金はぜんぶご両親が出してくれたと言っていました。いい男を捕まえてこいということでしょう。

良いお家の方で、有名私大の文学部を卒業して外国の航空会社のCAですから、英語と中国語が堪能という申し分ないスペックの女性でした。いかにも性格が良く、ルックスもアイドルレベルでしたので、行くところに行けばいるもんだなぁと感心したものです。

昨今は活動の噂を聞きませんが、かつては大蔵官僚を中心にした中央キャリア官僚との交際を仲介する「高輪会」というものがありました(そごう西武が外商顧客向けにホテルで催す商談会ではありませんよ😅)。

いずれは国の中枢を担う男に、自分の娘を番わせようというわけですね。これが新しい形の閨閥だと思います。それでなくても財務官僚のキャリアは、研修後、20代で地方の税務署長に着任します。現場仕事は熟練の部下たちがやりますから、地元の方との交流が大きな仕事になるようです。多くの場合、独身です。

財務省のキャリアで将来有望、20代で税務署長という独身男性を、その地方の名家の親御さんが見逃すわけがありません。僕の友人や後輩ですから財務省ではなく大蔵省時代の話ですが、ひっきりなしに縁談が持ち込まれて大変だったそうです。キャリア官僚の人気が落ちている今、どうなっているのかわかりませんが。

これは官僚に限った話ではなく、僕の勤務したテレビ局も、独身で地方局に勤務すると、地元の良家のお嬢さんとの縁談が持ち込まれるケースが多かったです。これが新聞記者になるとイメージが悪いのかそういう話はなく、地元の水商売の女性に捕まって帰って来るのが多かったので、面白いものでした。

とまあ「階級の維持・向上」という意味での閨閥結婚は、日本の階級制度自体が崩壊したので減少していますが、オーナー経営者や病院経営者、名家や大金持ちといった家のお嬢さんに、ご両親が将来有望そうな男を見繕うという意味での「新しい形の閨閥結婚」は今でも盛んにあります。

親が自分が築いた地位や財産を子々孫々に継承していきたいと考えるのは、本能的なものです。僕は娘が連れて来た男はどんな男であれ、結婚を認める気でしたが、それでもやっぱり自分の築いた財産をちゃんと継承してくれる男性を期待する気持ちはありました。そして結果として、娘はそういう男性を連れて来ました。こんな感じで新しい閨閥が出来上がっていきます。

でもこの回答を読んでいるほとんどの野郎たちには、まったく関係ない話だよね🤣。

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