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いわく付きの骨董品って本当にあるですか?

質問

いわく付きの骨董品って本当にあるですか?

回答

「いわくつきの骨董品って本当にあるのか?」という質問の意味が分からなかったので、「なんでそんな質問が?」と思ってちょっとググってみました。感想を言えばネットで「いわく付きの骨董」という名で紹介されているのは、限りなく「ゴミ」に近いものでした。理由は最後の方で述べます。

まず「骨董」って定義が難しいんです。フランス語ないし英語にすれば「Antique(アンティーク)」です。このアンティークについては米国が法律(通商関税法)で明確に定義していて、「製造から100年以上を経た手工芸品、工芸品、美術品」です。僕の知る限りこれが唯一です。イタリアが美術品の国外流出に厳しく、「製作から70年以上を経ているか1万3500ユーロを超える芸術作品は文化遺産省の許可が必要」なんですが、アンティークという定義はしていません。芸術作品です。

ただいずこの規定も通関関連です。中国は「清王朝崩壊以前の1911年より前に製造された美術品」の国外持ち出しを禁止しています。以上のことから古美術品はだいたい100年前後を経た「希少価値があるもの」が規制対象になるわけです。

西洋アンティークは、今ならアールヌーボー期、アールデコ期に製造されたものまでがアンティークで、製造からそれより浅いものが「Junk(ジャンク)」、その中でも価値がなさそうなものが「Rubbsh(ラビッシュ)」になります。Rubbishは通常、日本語では「ゴミ」ないし「ガラクタ」と翻訳されます。しかしジャンクだのラビッシュだのでは売れませんからあんまりだということか、最近では特に価値あるものを「Vitage(ヴィンテージ)」と称するようになってきました。なおこうしたアンティークやヴィンテージの復刻版や意匠を真似たものが「Retro(レトロ)」です。

いずれにせよ「製造からだいたい100年を経た古い希少価値」があるものを指しますから、それには色んな伝承があり、製作者や所有者の様々な逸話があります。それは「夜中に人形の髪が伸びる」といったありふれている陳腐なものではないです。僕の所有している骨董品やアンティークにもいろんな伝承(日本の骨董界では「故事来歴」「由緒」などと言うことが多いでしょうか)がつきまとっているものです。

例えば僕は日本刀を数振り 所蔵していますが、これは鎌倉期に作刀されたものから江戸末期に作刀されたものまであります。江戸末期のものは美工芸作品の色合いが濃いですが、鎌倉期のものは明らかに人を切ってきたものです。こんなものは序の口で、所有者にまつわる気味の悪い伝承があるものも少なからずあります。

以前の日本の骨董界では、この「故事来歴」を含む「過去」を重視する傾向がありました。

「共箱」という言葉があります。これは「製作者がその美術品を入れる箱も制作するか少なくとも用意して、記名捺印した箱にその美術品が収められているもの」で、これは真作であって価値が高い、という考え方でした。箱に書くので「箱書き」といい、作商品概要や制作年などが書かれている場合が多いです。

年を経るとさらにこれに新たな「箱書き」が加わっていきます。例えば茶碗などの茶道具であれば、著名な茶人や茶道の家元、高僧などがこれに銘を付けたことを記します。これが入った箱を「書付箱」と言います。さらに茶道の家元などが鑑定結果を箱に書き入れたものを「極め箱」と称します。こうして一つの茶碗にはいろなものがくっ付いて来るわけです。

しかし頭の良い方なら直ぐに気が付くでしょうが、それなら出来の良い贋作と出来の良い偽物の箱を用意して、出来の良い贋作と真作の箱、真作の茶碗と出来の良い偽物の箱を合わせてしまえば、どちらも本物が混ざっているものが2個作れてしまうわけです。大儲けです。これが転々としている間に新たな箱書きが加わって再生産され、日本の骨董界にはやたら贋作が出回って、何が何やら信用できなくなってしまったわけです。

「鑑定書」も実はあてにはなりません。高い価値を付ければそれだけお金がもらえる場合もあるので、えてして高評価をしがちです。最近でも中国古美術に付けた中国の鑑定家の鑑定書には、一読して「これはさすがにひどいよな」と苦笑することもあるので、僕はあんまり信用していません。

こうしてやたら贋作がはびこった結果、最近の日本の骨董・古美術界では、「箱を珍重したり、昔の鑑定書に頼り過ぎるのはもうやめて、作品そのものの良さをちゃんと評価しよう」という風潮が高まっています。僕もこの立場です。

ところで日本における「骨董」ですが、中国の文化である「古くて希少価値があるモノを貴ぼう」という考えが日本に入ってきたのは室町期、特に禅宗と一緒に入ってきたとされています。もちろん茶道も一緒です。

ただ「骨董」とは呼ばれてはいませんでした。茶碗であれば「見た目が美しい、貴人や高僧が所持していた、銘が入っているもの全般」が「名物」と呼ばれていました。こうなると人はそれを分類したり、評価したり、ランク付けしたりしたくなるものです。千利休の高弟である山上宗二が有名な「山上宗二記」を記して以降、様々な「名物記」が刊行され、「大名物」「中興名物」「雲州名物」などの名で呼ばれるようになっていきます。

余談ですが、「山上宗二記」が茶道具の秘伝書とすれば、日本における茶道そのものの秘伝書、千利休が述べたものの聞き書きとされてきた「南方録」は、最近の研究によって、ほぼ「元禄時代に制作された偽書」であるというのが通説になっています。当時の利休回帰のムーブメントの中で制作されたもので、「貴重な研究資料」という位置づけだと聞いていますが、少なくとも「利休の話を禅僧・南坊宗啓が聞き書きしたとされてきた秘伝書は存在しなかった」とされているわけです。

江戸時代から九州の大藩・福岡藩の家老で茶人としても高名な立花実山が書写したものが「秘伝書」としてずっと伝わってきたわけですが、昭和以降の研究、特に1983年に発刊された茶道史の熊倉功夫先生の「南方録を読む」以後、「南坊宗啓なる禅僧の実在性が怪しく、立花実山が利休100回忌を期して著した伝書(奥義書)」というのが通説になっていくんですから、いやはやこの世界は奥が深いです。

もちろん僕は「南方録」も「南方録を読む」もどちらも読みましたが、どちらもめちゃくちゃ面白かったので、興味がある方はぜひ。考えれば立花実山って日本史の教科書に載ってもおかしくなさそうな大変な文化人なんですよね。ほぼ半世紀に渡って藩主・黒田氏に仕える傍ら、同じく福岡藩が生んだ文化人、朱子学や本草学の貝原益軒、新井白石の師匠でもある京都の儒者、木下順庵に師事し、和歌に至っては古今伝授、茶道・南坊流を開き、最後の最後は福岡藩の跡目相続に筋を通そうとしたため、藩主になった福岡藩第4代藩主の黒田綱政の怒りに触れ殺害された、とされるドラマでも出来そうな人物。この人がその気になって書けば、奥深い古伝書ぐらいは書けるんだろうな、と深く納得した次第です。

「骨董」の話に戻ると、この「骨董」という言葉は、日本では「アンティーク」の意味を持っていませんでした。「雑多なものを入れたもの」が骨董です。大工道具なんかをゴチャゴチャ入れた箱が「骨董箱」、五目御飯が「骨董飯」といった具合です。ですから「江戸時代からの骨董品」と称するものが出てきたら、偽物・贋作の可能性が高まります。

また「桐」が珍重されるようになったのは江戸後期なので、いかにも由緒がありそうな「桐の箱」に江戸前期以前のなんか高そうなものが入っっていたら、真贋を疑いましょう。この辺が骨董蒐集家にはよっぽど「いわくつきの骨董品」です。安土桃山時代の名物茶碗が共箱、書付箱であれば、「杉の箱」に入っていなければなんかおかしい、と考えるのが、骨董蒐集の初歩の初歩です。

「骨董」という言葉が「古くて、希少価値があるもの」という意味を持ち始めるのは「明治期以降」とされます。江戸時代は茶道具以外のものは「古道具」と呼ばれる方が一般的だったそうです。なお「絵画」と「書」は正確には「骨董」とは呼びません。骨董商(僕は古美術商と言うほうが多いです)で店主が「書画」を「骨董」と言って来たら、あなたが素人と思われているか、店主の勉強不足のどちらかです。「骨董」は器など「お道具類の古くて価値のあるもの」を指します。書と画を含めると「書画骨董」です。

さて、最後に冒頭で「ネットで見たら限りなくゴミに近かった」と述べた理由をご説明します。

まずこの世界には、素人さんがこう言ってきたら、まずはチャチな偽物であろうな、と思うフレーズがあります。「祖父がぜったい他人には見せるな、売るな」「(なんの証拠もないのに大名家などの)代々〇〇家に伝わってきた」「もともとは旧家の蔵にあっもの」「(きちとした鑑定もできないのに)江戸時代の名工〇〇の作」ーーなんか売りたいと言われてこういうことを言われると、「はあぁ、またかよ」と思うわけです。

ともかく「能書きの多いものは偽物・贋作を疑え」というのがこの世界の鉄則です。ついでに骨董商が「お客さん、それは掘り出しものですよ」と言ってきたら、たいした価値がないものである場合がほとんどです。だって目利きで商売しているのに、そんなことを言って自らの目利きを否定するのは、ロクな骨董商ではありませんから。

とにかくあらゆる思い込みを排して、鑑定書や箱書きの類いも決して信用せず、古美術品そのものと対峙し、真贋を見極める。これができない方は安っぽい偽物・贋作を掴まされていくことになります。ちなみ骨董商・古美術商同士の売買で偽物・贋作を掴まされても「返品」というルールはありません。「目利きが出来なかった方が悪い」というルールだからです。だから筋の悪い骨董商にはこれを平気で売ってしまうところもあります。

ではネットで「いわくつきの骨董」と例示されていた品々を一部振り返ってみましょう。「人形の眼が動く」「市松人形の髪が伸びる」(はぁ)、「仕入れてきたものに呪いがかかっていた」(こっちは人を何人切ってきたかもわからない日本刀や断絶した大名家の骨董、良くない伝承がある西洋アンティークをバリバリ蒐集しているんですが。。。そんなことを思い悩む骨董商はいません)、「鎌倉時代の刀」(あんたに日本刀の目利きができるんかい。何振り観てそう言っているの?)、「葛飾北斎が手掛けたとされる浮世絵」(爆笑)、「刀の鞘を祖母が持っています。骨董的価値があるから誰にも見せないようにと」(大爆笑)

これ以上書くのが面倒くさくなってきましたが、蒐集家なら誰も恐れない訳が分からない心霊現象と、典型的など素人の思い込みの山だったじゃないですか。もう笑い転げてしまいました。我が家には伝承のあるブルーダイヤモンドもありまっせ。良いストレス発散にはなりましたが。

僕らにとって、古美術・書画骨董で一番怖いのは偽物・贋作です。ぜったい掴まされるのは避けられないからです。だって「南方録」だって偽書とされることだってあるんだもん。偽物・贋作を掴みながら勉強していくわけですが、やっぱり数千万円ないしそれ以上の単位の書画骨董で偽物・贋作を掴まされると、呪いがかかって寝込んでしまいそうです。「呪いのりおぽん美術館」ってメーへレン美術館みたいにならないかな。。。

おあとがよろしいようで(笑)。

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