ヘッジファンドは安い金利の円を借りて、ドルを買って金利差で儲けてる。

「キャリートレード」という言葉を調べてください。金利が低い国の通貨で資金を調達して、それを高金利の国の通貨で運用して、金利分の利鞘を稼ぐ投資手法です。これを円でやると、一般に「円キャリー」と呼ばれます。

ヘッジファンドは日銀が世界的に見ても異例な低金利であることを利用して、つい最近まで大規模な円キャリーをやってきました。過去何度かドル円について問われ、「国際的な投機筋が」とお答えしてきましたが、これは大幅な円キャリーになっていたからです。これは建玉で見れば、大幅な円の売り越しというポジションになります。7月頃は2006年以来という、歴史的な円の売り越しになっていました。

先日の日銀の利上げと植田日銀総裁が年内の再利上げを滲ませる発言をしたことで、ヘッジファンドなどの国際的な通貨投機筋は、大慌てして、この円キャリーのポジションを落としています。米証券先物取引委員会(CFTC)が8月9日に発表した未決済の建玉の売り越し残高は、前回の発表と比較すると、70%以上急激していました。

これが日銀の利上げ発表後、ドル円が急速に円高方向に振れた主因ではないのかと、僕は考えています。ドル円が円高に振れることで、日本の株価が下落する仕組みは、さらに別の話になります。