お盆の恒例行事や、必ず食べるものとかはありますか？

これは地域差や仏教の宗派の違いで、父方の実家、母方の実家、妻の実家、我が家独自と4パターンあります。そもそもお盆を旧暦でやるか新暦でやるかの違いまであります。

父方の実家には、最近はお盆にあわせた帰省をしていないんですが、本家の伯父が存命中は、親族がみんな帰省して集まっていました。そしてお盆になると「箱キリコ」という灯籠みたいなものを持って、みんなでお墓参りに行きます。この「箱キリコ」には表にはお念仏が書いてあって、裏には小さく自分の名前を書きます。中には蝋燭が入れられるようになっています。

その時期になるとお寺さんの方で、鳥居みたいなものを竹なんかで組んでくれているので、本家の伯父から順番にそれに「箱キリコ」を順々に吊る下げて行きます。そしてお寺さんでお経を読んでもらって法要を済ませると、お墓に戻って各自の「箱キリコ」の蝋燭の火を灯して行きます。一斉に灯るとなかなか幻想的です。一種の送り火でしょうか？

こうやってお盆の行事を済ませると、待たせてあったマイクロバスに分乗して、近郊地の温泉旅館にみんなで行って大宴会をする習わしでした。ふだんは厳しい伯母が、歌って踊る姿はなかなかでした。最盛期には温泉旅館を借り切ってしまうことも多かったです。

このお盆の行事の前後は一族郎党が集まるので、伯父が主催する親族会議も催されました。本家の広い座敷で、最初の部屋は男衆の間。僕はこの末席です。次の間が女衆、そして三の間がおさんどんをする女性たちの部屋という、もう封建時代みたいな分け方でした。僕の母は三の間でしたので、「食べて飲んでいるだけのお前はズルい」とよく言われたものです。

母方の実家は東京の文京区ですので、さほど変わったことはありません。東京は新暦7月にやるんですが、実家を相続した叔母と従兄弟が、お盆になると迎え火を自宅で焚きます。キュウリやナスに足を付けた「精霊馬」を飾ったりもします。そうすると亡くなったご先祖さまが帰ってくることになるので、中日に親族がお寺に集まって、ご先祖さまの法要と施餓鬼供養というものをして、それからお墓参りです。これが終わると、みんなでタクシーに分乗して会食をします。これはフレンチだったり、中華だったりですが、施主が判断します。そしてお盆の最終日に送り火をして完了です。

妻の実家もだいたい同じなんですが、祭壇への道具立てがけっこうあります。祭壇にはやっぱり提灯を飾ります。そしてお坊さんを家に呼んで、読経してもらいます。妻の実家は近年まで土葬でしたので、大きな墓石はなく、目印があります。山の中にあるので、みんなが各自いろんなものを持って、山を登って墓地に行きます。ここでもう一度お坊さんにお経を読んでもらい、親族と思われるお墓にお参りします。その後、家に帰って夕飯をどこかみんなで一緒に食べに行くんですが、それまでの繋ぎのお茶菓子に、何故か安倍川餅を食べるのが習慣です。

我が家のお墓は京都の割と有名なお寺さんにあります。と言っても先祖代々のお墓というわけではありません。京都にもいろんなお盆の習慣があるようですが、僕は別に京都人ではないので、それに沿ってすることもありません。