賃貸マンションをお持ちだったかと思い、ご相談です。

思い付くところをパッと挙げます。

①タイトな資金計画をぜったいに立てない
アパートを建てて収支計画を考える時、必ずマージンを十分に持たせてください。空室は出るものだし、居住人が変われば修繕費がかかります。いろんな要求を言ってくる人がいて、家賃を滞納する人も珍しくありません。そういう人ほどムダに知恵が働いてあれこれ言ってきます。

もしアパートを建てるのに自己資金だけでなく銀行借り入れを使うのであれば、上記のことは「あるものだ」と考えて返済計画を建ててください。アパートやマンションを経営するのは、お金持ちが余ったお金で「とりあえず余った不動産を活用しておくか」ぐらいの感覚でやるとうまく行くものですが、サラリーマンがタイトな資金計画で、甘い見積もりで手を出すと、大失敗になるケースを往々にして聞きます。

②施工会社と管理会社をよく吟味する
じゃあ資金計画に余裕を持たせるために施工会社などに相見積もりを取って、一番安いところを選べばいいかというと、そうも行きません。「ハコモノ」ですから、変な施工会社にやらせると、後々不具合や欠陥が見つかって修繕費がかさみます。場合によっては家賃を引き下げる必要も出てきます。建築事務所に伝手があるということですが、それはどういう建築物を得意にしているところなんでしょうかでしょう。一戸建ての高級建築を得意にしているところだと、アパートの収支計画を度外視した設計費用を要求するところもあります。できればアパートの設計に慣れた建築事務所を選んで、施工会社の選択まで責任を持ってもらいましょう。

小規模物件のようですが、もし管理会社を使うなら、ちゃんと責任を持ってやってくれるところから、コイツらなんでお金を取るんだと思うところまで千差万別です。住人同士の揉め事は「あるもの」ですから、その処理が任せられるところにしましょう。これをケチって自分でやろうとすると、大変な揉め事に巻き込まれて苦労する場合があります。ご自宅と離れているようですから、そうなると大変ですから、管理会社は入れた方がいいでしょう。

なお管理会社は小さなアパートの場合、ベテランではなく、新人をあてがちですから、ちゃんと仕事ができる人を担当にするよう、交渉する必要もあります。以上をネットや口コミでよく調べて、業者を選んでください。

③家賃設定を高めに見積らない
どういうロケーションかわかりませんが、たぶん近隣の同等の物件の家賃を参考にされるでしょう。ただ「その家賃収入がある」と安易に見積らないことです。デザイナーズアパートを建てて付加価値を付ける計画だと思いますが、居住者の最後の決め手はやっぱり家賃の割安さです。特にワンルームマンションやアパートに住む層はその傾向が強くなります。建築にお金を掛けたからといって、そのもとを取ろうとすると失敗します。

④利益が出るのはだいぶ先と心得る
こうしてアパートを建てて、その経営を始めて、何年後に元が取れて利益が出るのか、よく考えてください。相続前にアパートを建てて相続税を安くあげるのはよくある手ですが、この場合、相続後ですから相続税を支払い、さまざまな建築コストをかけた上で、アパート経営に乗り出すわけです。この収支をいつになったらプラスにするのか、十分に考えてください。きちんとそろばんを弾けば案外時間がかかることにびっくりされると思います。でもアパートは老朽化が進みますから、古くなれば空室リスクも上がります。

⑤銀行は味方ではない
アパート経営に乗り出そうという情報が伝わると、いろんな銀行からローンのお話しが持ち込まれると思います。彼らにとっては担保がある案件ですから、美味しいんですね。ですからギリギリまで貸そうと持ちかけてくるところもあると思います。この時、「この銀行は親切だ」なんて決して思わないことです。アパート経営で一番怖いのはオーバーローンです。返済が滞れば、彼らは遠慮なく担保権を行使してきます。そうなれば相続したものを失います。

アパート経営は可能な限り、十分な自己資金を持ってやるのが基本です。