質問
最近有名な記者さんと名刺交換したのですが、◯◯新聞社◯◯部『遊軍記者』と所属?が書かれていました。
言葉の意味は分かるのですが、新聞社にはそういった役職があるのでしょうか?
思わず吹き出しそうになりました
回答
役職名ではないです。これは新聞社によってさまざまですね。部によっても方針が異なります。経済部で言えば、財務省担当や日銀担当といった、ある取材対象をメインに持つ記者のグループと並列に、主たる取材対象を持たない遊軍担当ないし遊軍記者がごく少人数いる感じです。政治部や経済部の遊軍は比較的少なく、部によってはいない場合もありますが、社会部はメディアによっては遊軍記者をたくさん抱えているところがあります。
例えば◯◯新聞社経済部◯◯という名刺を刷る時、間違いなく経済部以下の◯◯で表記されるのは、「部長」「次長」「編集委員」の3つだけです。次長というのは「デスク」のことです。その部が大きければ「副部長」といったポストもあります。
しかし次長の下に所属しているのは全員が「記者」です。小さな記者のグループのリーダーとして「キャップ」と言われる記者がいます。キャップの下には「サブキャップ」や俗に「手下(てか)」と呼ばれるような平の記者たちがいるんですが、キャップもサブキャップも手下も役職名ではありません。ただ「政治部の官邸記者クラブのキャップ」が官邸記者クラブに所属する記者たちを統率して、「こんな取材をしようか」と指示を出すだけです。キャップも実態はただの記者で、正式な役職名ではありません。
ツイッターでは「上層部の方針でこういう記事が出た」という訳知り顔の嘘ばっかが横行していますが、実は取材して記事を書くかどうかの判断は90%以上は現場の記者の裁量に委ねられています。稀にいろんな事情で「この件を取材してくれないか」という依頼が上層部から舞い込みますが、無視することもできます。
ただ逆に記事を書いたからといって、それが掲載されるかどうかを記者は決められません。次長(デスク)が掲載するかどうかを決めて、部長やおんなじ部の他のデスクと協議して扱いが決まります。1面や総合面に掲載する場合は政治部や経済部、社会部など各部の部長や編集局長が会議を開いて、今日はこの紙面で行くかどうか決めます。この辺になると平記者はあなた任せです。
現場の記者の裁量は、みなさんが考えているよりずっと大きく、特に会社として追いかけるテーマでもない限り、日々何を取材するのかは記者個人に委ねられています。ただほとんどの記者は、特定の記者クラブに所属して、◯◯担当になります。例えば僕が最初になったのは「政治部」の新米記者がよくやらされる「首相官邸記者クラブ(永田クラブ)」の「総理番」で、次いで「平河クラブの自民党清和会担当」というものでした。経済部での初任は大蔵省を担当する「財政研究会」という記者クラブに所属しました。
いずれも「政治部記者」とか「経済部記者」とは書いてありますが、自民党担当とか大蔵省担当とは書いてありませんでした。キャップは当然いましたが、名刺自体は僕が所属したテレビ局も新聞社も、ただ「記者」と書いてあるだけで、「キャップ」は役職ではないので、明記はされていませんでした。
例えば官邸記者クラブの場合、セキュリテイの都合上、顔写真入りの記者証などを携帯しました。政治部記者であれば政党取材担当であっても国会議事堂内を出入りする必要がありますから、国会記者会館内にある「衆議院記者クラブ」にも登録して、記者向けの議院徽章と携帯する帯用証を受け取ります。これを付けずに国会議事堂に入ろうとすれば、例え顔見知りであっても、衛視に止められます。
ということで、1人の記者は例えば「自民党担当」といってもいろんな記者クラブに属して、臨機応変に動きますから、名刺に「◯◯担当」と入れる意味があまりないんです。僕は地方に行ったことがないので、地方支局の警察署担当などが名刺にどう表記しているのかは知りませんが、名刺に◯◯担当と入れるのは、取材範囲を狭めるだけですから損です。例えば僕は長年、経団連の記者クラブに席を置きましたが、「経団連担当」になったことは一度もありません。
以上の理解の上で言えば、「遊軍」というのは、主たる担当も所属するメインの記者クラブも定められていない記者のことです。何を取材するのも、誰にあたるのかも、遊軍記者であれば自由です。上司に言えば必要に応じてほとんどのクラブに登録することもできます。ただ一部の所属に厳しいクラブ、例えば首相官邸記者クラブやプロ野球記者クラブなんかは難しいかもしれませんが。
また取材テーマが自由とはいえ、大きなテーマが発生した時には、遊軍として、そのテーマに取り組むことはあります。
現場の記者からすれば、取材対象が決まっていて、記者クラブに属していて、広報からの発表があったり、投げ込みがあったりする方が、書くネタに困らず、簡単です。すべてが自分の裁量に任されて、思いがけないスクープ記事を期待される遊軍記者は簡単な仕事ではありませんから、どの部でもベテラン記者たちが充てられます。
言ってみれば「キャップ」や「サブキャップ」ができるクラスの記者を、手下の記者たちを指示する面倒を追わせずに自由に取材させるためのポジションです。記者には部下を持たせず、一匹狼で仕事をさせた方が成果を出すタイプも少なくないんです。
役職名である「編集委員」は、例えば「少子化問題に見識がある人だから」ということでなっているので、少子化問題に対する他の記者では書けない記事が期待されますが、遊軍記者の場合、それさえない場合がしばしばあります。
つまり遊軍記者は自分から取材テーマを考えて動かない限り、何にも書くものがない仕事です。また記者クラブに所属して何かを担当している記者の仕事をあんまり荒らしてもいけません。僕も経済部の遊軍記者になった経験がありますが、「夏休みの自由課題が与えられた小学生みたいなもんだな」と思ったものです。
僕の所属したテレビ局や新聞社では遊軍記者だからと言って、特に名刺でそれを明記する習慣は少なくとも僕が所属した部ではありませんでした。ただ社会部の遊軍記者の場合、ままそれを明記する会社があるようです。「遊軍記者」は平の記者ですが、「取材力がある出来るベテラン記者」の証のようなものですから、今回の場合は会社としてわざわざそれを名刺に明記されていたんでしょう。
ただこれは本当に各社で決まりはないんです。
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