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お金持ちとしての生き方

美術品の購入は欲しいと思ったものがあれば所有者に「売ってくれないか」と打診するケースが多いですか?

質問

美術品の購入は欲しいと思ったものがあれば所有者に「売ってくれないか」と打診するケースが多いですか?
あるいは美術品市場に出てくる品を定期的にチェックして
良い作品があれば都度購入するケースが多いですか?

回答

所有者に直接打診したケースはありません。コレクターは気に入っている作品を突然「◯◯円で買うから売ってくれないか?」と言われたからといって、売ることはまずありません。つまみ出されるケースが多いです。また世の中には高い絵を持っていることを見せびらかしたい人間もいるようですが、よほどその道で有名なコレクター以外、ある美術品を持っていることを大っぴらにしない方が一般的です。

お金持ちをアピールしたいなら別ですが、それ以外で持っていることを言えば、税務署にチェックされるか泥棒にチェックされるかだけなので、良いことは何もありません。知っているのは売った美術商とその美術品の行方をコツコツと追っている美術館の学芸員さんだけということもあります。

所有者が相続税対策なんかのため、コレクションを売りに出そうと考えた場合、出入りの美術商と相談するか、オークションにかけるのが一般的です。この時、大っぴらにコレクションを売却したことを知られたくない場合や、売る相手や国を自分で決めたい場合がよくあります。この時には「プライベートセール」というものになり、美術商やオークションハウスが見込み客に声をかけます。

良い美術品をコレクションするためには、この時、美術商やオークションハウスの人から声をかけられるかどうかが命になりますので、日頃からこうした人たちと円滑な関係を結んでおくことが重要になるわけです。

それ以外では、美術商に入荷したものを購入するか、オークションでビッドして競り落とす場合が多いでしょうか。ただうん百万円程度のものなら美術商も店に陳列しますが、それ以上のものになるとショーウィンドウには飾らないケースが多いです。この世界には「目垢が付く」という言葉があり、買う見込みもない客には品物を見せたがらない美術商もけっこういます。

ですから、良いものが入荷したら、「この人は買ってくれそう」という見込み客になることが重要です。億単位の絵がこうして美術商と買い手以外、誰も知らないままに売買されることもあります。自分のところの客だけでは良い買い手が見つかりそうにない場合、親しい美術商同士で「こんな品物が入荷した」という情報を交換することがあります。これは東美所属の美術商ならその仲間内ということになります。

だからAという美術商と仲良くしていて、こそっと「Bさんのところにお客さんが好きそうな◯◯が入ったらしいですよ」と茶呑み話で教えてもらえる場合があります。

いずれにせよ、情報と情報網が命の世界です。

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