ドムス南麻布、ドムス元麻布というマンションもそれなりに資産家界隈には有名でしょうか。

「それなり」ではなく、都内で不動産運用を考えている超富裕層であれば、ドムスマンションシリーズを知らなければおかしいと思います。「ドムス」シリーズのマンションは、日本における高級マンションの草分け的な存在で、東京の港区を中心に1980年代以降に20棟ほど建設されました。低層階マンションが多いですが、住環境が良くて部屋がとても広いのが特徴で、1マンションの居住戸数は10戸前後が多いと思います。分譲時点で10-20億円のものも珍しくはなく、今でもその価値が上がっています。

昔、引退した企業のオーナー経営者の方が奥さまと住んでいたので、訪問したことがあるんですが、内装材からドアの取っ手まですべて「本物」を使っていたので驚いた記憶があります。昨今のタワマンのように「とりあえずミーレの家電製品を入れておけば、高級マンションと言っても顧客は納得するだろう」といったチープな考え方では作られていません。細部に至るまで、手がかかっています。

東京にはもう一つ、「ホーマット」マンションシリーズというのも高級マンションとして知られています。これは1965年以降、興和不動産が、日本にやってくる外交官や外国人エグゼクティブ向けに建設したマンションです。これも港区、渋谷区、千代田区の交通至便な立地にあって、外国人向けに石灯籠がある日本庭園があったりします。当然ですがホームパーティーが催せるような広いリビングやパーティーをするための設備が整っています。

「ドムス」も「ホーマット」も、もう築40年、50年、あるいはもっと経っているようなものもありますが、現在ではありえないような立地と良い住環境の低層階マンションなので、「ヴィンテージマンション」と言われています。人気が高く、分譲されたものが売りに出れば、だいたい右から左に売れてしまいます。また「ドムス」は、著名な芸能人が住んでいることでも知られています。

僕には「ドムス」に住んでいる知人は現在いませんが、「ホーマット」の方に住んでいる外国人の友人がけっこういます。僕はタワマンの高層階に住みたいとはぜんぜん思いませんが、ホーマットであればリノベーションして住んでもいいかなという気がします。