質問
コロナショックから約4年が経ちました。こんな質問お嫌だと思いますが、あの時の緩和は正しかったのでしょうか?エグいインフレになる事は分かっていたはずです。
回答
2008年のリーマンショック以来、金融危機には迅速かつ大規模な金融緩和をもって臨むのが、金融政策としてどうやら「正解らしい」というのが、現在の世界の金融当局者の共通認識だと思います。遅すぎても規模が小さくても効果が薄い。リーマンショックの時に米欧先進6カ国が一斉に協調して金融緩和に向かった中で、ただ一国、「リーマンショックの影響は限定的」と言って参加を見送った当時の白川方明日銀総裁の判断は、今なお「情勢認識が甘かった」と責められ続けていると思います。
結局、日本は世界的な経済の回復で出遅れて、白川方明さんは事実上更迭され、黒田日銀総裁の元で遅ればせながら異次元の金融緩和に踏み切り、財政出動とともにアベノミクスが行われることになったわけです。
2020年2月のコロナショックの際の大規模な金融緩和は、当時のトランプ大統領の強いプレッシャーの結果、パウエルさんが想定していたより大規模になった可能性はあります。しかし、あの時に世界を覆っていた巨大な不安を考えると、例えインフレを招くことがわかっていたとしても、僕は正解だった評価しています。
現時点でのインフレを顧みて「あれはどうだったのか?」と非難するのは、経済紙の新聞記者だってできます。その瞬間瞬間で判断しなければならないのが、金融当局者です。
なお僕は「しつこいインフレ」ではあると思っていますが、ハイパーインフレのような「エグいインフレ」ではまったくないと思っています。リーマンショック以降、世界の金融当局者の政策的な知見は一段階上がったんじゃないでしょうか。むしろ2013年5月のバーナンキさんの不用意な発言で発生したバーナンキショック、いわゆる「テーパータントラム」の二の舞を踏まないように、パウエルさんは注意を払っているんだと、僕は推測しています。
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